ヨウ&カズ☆™のたまり場

ヨウカズの野郎がぐだぐだと替え歌歌詞を公開したり解説したりたむろしてたりするブログです。ブログじゃねえ。tkブログってなんだろうね((殴

ヨウカズのオリキャラさんち 「一人目・みつはたん」 その1

どうも、ヨウカズで御座います。 
初めましての方もこんにちはの方も、宜しくお願いします。 
此方では長々と一作品に出来そうも無かった創作話を、キャラクター別にちょこちょこと書いて行きたいと思います。 

寄生花の咲いた女の子とか、死期宣告をされた画家の男性とか、家出した女の子とお人形さんとか、亜人ハーフっ子とナルシ店員さんとか…… 

もっさりもっさりおりますが、ちまちまとのろのろと、やっていきたいと思います。 


……短編と長編の間位の長さになったらどうすればいいんすかね(・ω・`

(っていう某所のまとめ←)

 

一人目:みつはたん。 


白く柔らかなレースに包まれた赤ん坊を、夫婦が微笑ましく眺めている。 

はじめまして、ヒナタです。 
私はあなたのお母さん。 

よろしくね、私はヒカゲ。 
君のお父さんだよ。 

そして君は、みつは。 
蜂蜜の蜜に葉っぱで蜜葉。 


あま~い蜂蜜は誰にも好かれ愛される。 
そういう子になれるように、なれますように。 

植物の葉っぱは日の光を目指す。 
けして太陽を見失わない。 
貴方の道がそうであるように、のびのびと生きて。

 

1・この世界の隅っこで真ん中の場所にて。 


「外見ばっかり目立つのに、中身は大したこと無くて……」 
「あら、中身が悪い人よりいいじゃん 私が貴方の日向になるわ!」 

西洋とのハーフでありながら、日本で育ったヒカゲ 
暗さを感じさせない艶やかな黒髪で、太陽の下が似合うヒナタ 

大学で知り合った二人が友達に、そして恋人になるのに、そう時間はいらなかった 


やがて二人の間に生まれた子は、 

父譲りの金髪と翠の瞳で…… 
でも目つきは、母譲りの穏やかな雰囲気を持っていた。 


「はぁ~、可愛いわぁ……」 

産婦人科。 
ベッドの上、自分の横で寝息を立てる我が子を、ヒナタは愛しくて堪らないというふうに息をつく。 

「はは、本当に……お疲れ様」 

そんな妻をヒカゲは、椅子に座りながら髪を撫でていた。 
ヒナタは大きいその手を、満足そうに受け入れている。 

「この子もそろそろ、名前を付けてあげなくちゃねー……」 
「ん、そうよねー」 
「だからさっ、自信ないけど、考えてみたん――」 

「みつは がいいわ!」 

「へっ?」 

ヒカゲの照れくさそうな顔は、ヒナタに掻き消されてしまった。 
代わりにヒナタが、「生まれてきたときに、ピンと来たの」と舌を出して付け加える。 

「あのねっ! 字は蜂蜜の蜜にー、葉っぱの葉で、みつは! ねっ、可愛いでしょー!」 
「へえ~、どちらも自然からだね…… 意味はあったり?」 
「当ったりまえだのタメゴローさんよ!」 

ヒナタは得意げに、にま~っと笑うと、一気に話しはじめた。 

「蜂蜜ってー、甘くて、美味しくて……誰にでも好かれるでしょう? 
 だからぁ、誰にでも好かれる、優しい子に…… 
 なってほしいな、なれますようにー! ってね?」 

「それなら、蜂蜜じゃなくてもいいんじゃ……」 
「んもーっ、理系君だな~っ! 私が蜂蜜好きなの知ってるくせにぃ……」 

頬を膨らますヒナタをヒカゲは、文系だなあ……と、愛しくおもった。 

「でね、葉なんだけど―― 

 植物ってぇ、いつも太陽の方を目指して伸びるでしょ?」 
「うん」 
「だから…… 方向を、絶対見失ったりしない。 
 暗かったら光のとこまで伸びる、凄い生き物なの。 

 強い子、って程じゃないけど…… 迷わないように、歩けるようにー、って!」 

そう言ってヒナタは、まだ自分の名前も解らない我が子を撫でた。 
その光景にヒカゲは…… 

「みつは。」 

「改めてはじめまして、えーと…… 君の、お父さんです。 
 君が苦しい時は、守ってあげるから、 えーと……」 


「宜しくお願いします」 

照れくさそうに、あいさつをしていた。 


―この子のいるところが世界の中心 たとえ世界が、そこをはじっこだと言っても―

 

2・特に理由の無い天罰。 


その子はもうじき、10歳の誕生日だった。 

「みつは……っ」 

その子の母親・ヒナタの揺らぐ視線の先で、「手術中」の赤いランプが点灯している。 
冷たい扉の向こうで、可愛い蜜葉の身体がどうなっているのか、考えるのも恐ろしかった。 

ヒナタはハンカチで目を覆うばかりで、時折しゃくりあげるように身を震わせている。 
ヒカゲはそんな妻の肩を、震える手で抱きしめながら、先程の医者の説明を想い出していた。

 連絡をくださった女子高生さんの話によると、 
 どうやらお子さんは下校中…横断歩道を渡っていた男性を助けてたらしいんです。 

 その人、若いのに傘を杖にしててねェ… 
 歩くのが大変そうだと思ったんでしょうかね、お子さんは。 
 …優しい子だ。 

 中間くらいまで渡った頃、トラックが走ってきまして… 
 お子さんは焦って男性の手を引っ張って、自分だけ前につんのめっちゃったんでしょうなあ… 

 運転手の方は慌ててブレーキを切ったらしいんですが、 
 男性の方に目が行ってて、お子さんには気づかなかったそうで… 

「……大丈夫だよ。 あの子を信じてあげなきゃ……」 
「馬鹿、私はっ……信じてるわっ! でも……信じたって駄目だったら、どうするのよぉ……」 
「……」 

ヒカゲも涙を零しそうになった時、「手術中」の明かりが消えた。 

「!」 

しばらくして、看護士達が包帯だらけの子供を乗せた台を押して出てくる。 

「っ……! みつはっ、みつはあっ!!」 
「奥様、台を揺らさないでください!」 

台に駆け寄るヒナタを、看護婦が慌てて制止する。 
心配でたまらなくしているところに、主治医が出てきた。 
ヒカゲがヒナタの手を握りながら口を開く。 

「先生…… あの、みつはは、うちの娘は……!!――」 

辛辣な表情の二人に、主治医はマスクを取って笑って見せた。 

「大丈夫です、一命を取りとめました。 2,3か月もすれば、退院できるでしょう」 
「――ッ!! あ……う、 うあぁああーーッッ!!……」 

ヒナタはそれを聞くと、糸が切れたように、床に泣き崩れて顔を伏せた。 
ヒカゲは頬を伝う涙も拭かずに、ただ頭を下げながら、「有難うございます、」を繰り返した。 
我が子は幾つもの管に繋がれていたが、すやすやと寝息を立てている。 


―1ヶ月後― 

みつははベットの上で上体を起こして、まだ巻かれている包帯を眺めていた。 
見舞いに来ていたヒナタは傍に椅子を引っ張ってきて、やわらかい金髪を撫でている。 

「ねえ、母さん……」 
「んー?」 

その日のみつはは、なんだか顔色が優れなかった。 
いつもなら母親と会えて、嬉しそうにするのに。 
そして母親をじっと見上げると、一言ポツリとつぶやいた。 

「頭、痛いの……」

 

3・みつはたんは女の子な御年頃。1 


「い~た~い~のぉ~っ!」 
「あらあらっ、また?」 

退院後、みつははよく頭痛を訴えるようになった。 
昼間は元気なのに夜明けや学校に行く前になると、ぐずりだすのである。 
最初はヒナタもヒカゲも、『しばらく学校を離れてたから、行く気が起きないのかな?』くらいに思っていた。 

「ふあ……んー、おやすみなさぁ~い……」 
「あ、おやすみ。 みつは」 

みつはは眠そうに眼をこすりながら、2階に上がり、自分の部屋のベットに潜りこんだ。 

「……体、どうかしたのかなあ……?」 

パジャマをめくって、自身の腹から胸のあたりを弄る。 
そこらには、手術跡がミミズ腫れのようにあちこち這っていたが、それはあまり関係無い。 
別にそれが嫌で体育を休みたい訳でもないし、友達は自分が帰ってきたのを喜んで、抱きしめてくれた。 

「……」 

事故、退院からもうじき半年。 
5年生になって気持ちは一層張り切っているのに、最近頭が妙に痛い。 
みつははパジャマを直すと、天井を見上げた。 
白くて何も無い状態だ。 

「ふう。 …… 朝になるの、嫌だなあ……」 

そう呟いた後、だんだんと瞼が重くなっていった。 


みつはは明日の朝、気付くだろうか? 
頭のつむじから覗き出した、髪の毛にしては、少し太い先端に。

 

4・みつはたんは女の子な御年頃。2 


―事故から半年後― 

「みっちゃん、次体育だよ!」 
「うん、着替える着替えるー!」 

夏休みも間近に迫る中、体育ではプールがはじまっていた。 
みつはも他の子同様プールが好きで、今日も一秒でも速く着替えようと急いでいた。 
皆はタオルを被り、てるてるぼうずの集団ができ、一人二人と減っていく。 

「よしっ、えーと、帽子帽子… 、」 

みつははふと、きゃいきゃい話すクラスメイトたちに目が行った。 

「……」 

大体の女の子が、胸が膨らんできているのが気になるのだ。 
いつもは服を着ているからあまり考えないが、こういう時に一段と気になってくる。 
別に変な意味では無いのだが、みつは自信もそういうお年頃である。 

「ん~……」 

自分の胸はまるで洗濯板のようにまっ平らで、一向に膨らんでこない。 
それを全く気にしないと言えば嘘になる。 

「あっ、しのちゃんもうブラジャーしてるのー?!」 
「ちょっ、見ないでー!」 
「おおーこれが……!」 

そんな会話が聞こえてきたときには、口角が引きつってしまう。 
昔から、気まずい気持ちになった時のくせだった。 

ああ。 篠原さん、もう付けてるんだ。 
やっぱもう、生理とか……きてたりするのかなあ? 
ああいうの、付けにくそうだけど…… 
って、私には隠す物も無い位なんだけど、 

……私、遅い? 

水着越しに胸に触れた指は、何なくそこをすべった。 

「…… ――はっ!?」 

そうしてふっと我に返った時に、 
「何を考えてるんだ自分は」 
と、喉の奥を熱くした。 
赤らんだ顔を誰かに見られたくなくて、思わず手で顔を覆う。 
そんな状態を見た友達は、首をかしげて彼女の肩を掴んだ。 

「? みっちゃん、体調悪いの?」 
「っえ? あ…… う、ううん! 全然大丈夫!」 

慌てて両手で否定し、Vサインを見せて笑うみつは。 
友達は「無理しちゃダメだよ?」と言いながら、プールまで手を引いてくれた。 

「……」 

そんな友達のサバサバシした対応が、返ってみつはには嬉しかった。 
その顔がふんわりとした笑みを浮かべた時 

――った! 

頭からつま先を貫くように、一瞬体がしびれた。 

「……?」 

痛みはすぐに引いたが、こんな事は初めてな気がする。 

あれ? 昼間なのに…    頭、痛いなあ。 

みつはは少し不思議に思ったが、いつものことだ、それが今起こっただけだと、特に気にはしなかった。

 

5・にょきにょきプランターみつはたん。 


みつははその時、授業でクロールのテストを受けていた。 
最下位になってしまったが、「よく、最後まで泳いだな!」と先生が褒めてくれた。 
何より水泳帽を忘れてしまい、授業を受けられないのでは……とひやひやしていたのだが、先生が帽子を貸してくれたのだ。 
その優しさに応える努力ができて良かった、みつは自身そう思ったのである。 
プールサイドに上がって、タオルで髪を拭こうとした時―― 

「あれ? みっちゃん、」 

友達が何かに気付いて寄ってきた。 
みつはが振り返らずにこたえる。 

「ん~、何?」 
「あ。 頭に落葉付いて……」 

グイッ 
頭に痛みが走った。 

「――痛っ!?」 

友達が髪の毛を引っ張ったのだろう、そう思った。 

「る、……よ?」 
「んも~、髪の毛じゃん。 引っ張らな……」 

ふざけた調子で振り返って、顔が凍り付いた。 
みつはの頭から千切れ、友達が手に摘まんでいた物は、大きいけれど…… 

種の殻に、よく似ていた。 

同時に頭に、何かが伸びて動いているような感覚に気付く。 
そしてそれは呆然とする二人の前にするすると伸びて、友達の持っていた殻を取っていった。

「っ……!!」 
「さやちゃ…? だっ!?――」 

友達はとても驚いた顔をして、状況が分らないままのみつはを突き飛ばす。 
そして、声もあげずにタオルを持って教室へ走っていく。 
みつははしりもちをついて腰をさする。 

「ど、どうした天野ーーっ!?」 
「……山セン、どうしたんだ?」 
「さぁ…??」 

先生が友達を追いかけてったのを合図に、クラスメイトの視線がこっちにやって来る。 
途端に、さっき走っていった友達と、同じ表情でみつはを指差した。 

「ひゃ……っ!!?」 
「うわぁあっ!」 

え……何、……なに? 

「やーっ、みっちゃん何それ~!?」 
「先生、先生ーっ!」 

なんで皆…私を見てうろたえてるの……? 

声を上げる者、面白がる者、怪訝そうな顔をする者…… 
皆に囲まれたみつはの頭は、状況を理解しようと懸命に働いたが、余計に混乱するばかりだった。 

「…??」 

みんなが指しているのが自分の頭だと気付くのにも、時間が掛かった。 
兎に角少しでも状況を理解しようと、必死だったのだろう。 
首を動かして、プールの水面に写る自分を見た。 

「ヒ、ッ…!」 

そして、自分の口から小さい叫びがあがった。 鞭を打たれたように、背筋がじんじんと痺れる。 

そこには怯えた女の子の顔と…… 
その頭から生えた茎の長い双葉が、美味しそうに殻を食べているのが写っていた。 

「あ……あぁ、あ……??」 

得体の知れないものが自分の頭から生えているという恐怖に、みつはの体は、冷えも手伝って震えていた。 
それでも、水面から目を離せない。 

「ちょっと! 先生まだ戻んないの~!?」 
「ってかこれ、普通にすごくね?」 
「食虫植物ってやつかな」 
プランターじゃなくて、みつはの頭で咲きました~! ってか?」 
「うわ~、動いてる……」 

「なぁ、これ……食うかな?」 

そう言って一人の男子生徒が、何かをみつはの頭近づけてきた。 

「へえっ?!」 

上ずった声で思わず振り返ると、眼前に…… 
子供の指から逃れようと、手足をバタつかせるトンボがいた。 

「――ッ…!! い、いゃあッッ!!」 

みつはは先程友達がしたように、彼を突き飛ばすと、振り返らずに駆け出した――

 

6・逃げ込んだったらったった、駆け込んだったらーらった。 


「はあっ、は…… えぐっ、は……あっ!」 

みつはは頭にタオルを被って、息をきらして廊下を走っている。 
幸いどこのクラスも授業中で、みつはに気付く人は居なかった。 
頭の双葉は殻を食べ終えたのか、動いてないらしい。 
その行動は、生まれた時に自分の卵の殻を食べる幼虫のようで、 
虫ならば何でも食べる、食虫植物のようで…… 
でもそれよりも。 

さっき食べた? 殻って、……どうなるんだろう。 
私の頭の中で…どうなるんだろう? 
なんで…… 

「ッハァっ、ひぃっ!」 

冷えきった頬に、何か流れるのを感じた。 


ピンポーン…… 

「あら?」 

時刻はまだ、昼下がりであった。 

「来客の予定なんてあったかしら……ご近所さん?」 

それなのに呼び鈴が鳴らされて、不思議そうに玄関へ駆けよる。 

「はーい、どちら様… みつはっ!?」 

相手が我が子と気付いたヒナタは、急いで棒錠を外す。 
みつはは頭にプールのタオルを被ったまま、うつむいている。 

「どーしたの? 学校早くな…… みつは?」 

しゃがんでみると、何故かみつはの服は、ところどころ濡れていた。 

「お…… うっ、おがあさぁあーーんっ!!」 
「わぁあっ!?」 

みつはは一度鼻をすすったかと思うと、母親の腕の中にしがみついて泣きじゃくった。 

「お、おお……? なになに、どうしたの~。 なんか、やなことでもあった??」 

ヒナタは状況が掴めないまま、濡れた背に腕をまわした。 
まだ小さい背中を、赤ちゃんの頃のように擦って宥める。 

「おがっ、さ……っ 私、私ね゛えっ…… おかしく、ないよね? おかしくないよ、ね??」 

涙ながらに絞り出された言葉は、まだ何の説明もされてないヒナタに理解できる筈もない。 
それでもみつはは、同意を欲しがったのだ。 

「ん……とりあえず、家ん中入りましょ? お母さん聞いたげるから…」