ヨウ&カズ☆™のたまり場

ヨウカズの野郎がぐだぐだと替え歌歌詞を公開したり解説したりたむろしてたりするブログです。ブログじゃねえ。tkブログってなんだろうね((殴

半島双子で「半島☆ナイトフィーバー」

無・・・・・キム姉

「」・・・・宇成

『』・・・・ふたり

 

 

 

『駄目ですよ☆』 フォー!!

 

(宇:なんですか、今のフォーって。)

(キム:なんか入ってたから言いましたよ!)

(宇:…自分やっぱり帰りますよ?)

(キム:ああー!! だ、駄目ですよー! ほ、ほら! もう始まりますよ!)

(宇:え。)

 

 

張りぼて(サムシッパル) 主張を続ける

「問題山積みでも マイペースに努力」

二万円とちょいで 成田から飛んで来て!

「心の準備は まあ、特にありません。」

 

(え゛。)

 

菊んちがヤベくても 大丈夫! オッケイ! ワタシに任せて!

これは経済的に 追い! 抜かす! チャンスですよ!

 

マンセー!!』

 

『半島☆ナイトフィーバー!』

五千年の歴史を感じて! 「首都圏内以外は 宵の中へと」

 

(暗いですねー)(「お黙れ」)

 

『半島☆グルメフィーバー!!』

ヌンドゥクク 「平壌冷麺」

完食せずにすこしだけ 「残すのが」

『礼儀ですよ』

 

 

「疲労が残る日 動きたくもない日」

ワタシを呼ぶですよ キムチ食べるですー!

学校じゃ教われない ことを

ワタシが教えてあげます☆

(「嫌すぎる」)

夜の扉と一線を越えましょう☆

(「断固拒否!!」)

 

(アイゴオオオオ!!(泣))

 

『半島☆ナイトフィーバー!』

「溢れる感情は」 (規制)!! (「おい」)

「さあ覚悟できたら 訓練 開始ですよぉおお!!」 (アイゴオオ!!)

 

『半島☆ナイトフィーバー!』

「笑顔の自分にサヨナラ」

撃てる訳…ねーですよ…

「いや、でも 駄目ですよ?☆」

 

アナタのこと誰よりも わかってます

だから 怒りもしますよ

会議室こもって テコンドー やりましょう!! (「嫌です」)

 

『半島☆ナイトフィーバー!』

「上司が寿司食べてました」

ムカつくし怖いけど 見慣れれば可愛い

(「どうゆう意味ですか」)

半島☆ナイトフィーバー! (「えっ、ちょっ…」)

見覚えなんてないですよ!

絶対テ●ンV マジンなんとかじゃーねーです☆(「無理がありますよ」)

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

完成してたのにうp忘れてたやつ。

姐さんのテンションヤベェ

 

『半島☆ナイトフィーバー!』

 

―最終兵器とファンタジア―

知ってる?この国にはね… 
秘密があるんだよ。 

きっともうすぐやってくるわ。 

……貴方もそこで見ていらして? 

「この世界の行く末を」 


fantasia: 
英語… 
音楽用語の「幻想曲」 
フィンランド語… 
「空想・幻想」 
イタリア語… 
「空想・幻想・思いつき・幻想曲」、 
「たくさんの色が使われている柄、服、包装紙」 

>>2 キャラクター

2:ヨウカズ:2014/04/30(水) 08:23 ID:23U

天よりの使者…第一使者による子供達。 心を持った人間のようなもの。 

第三代目使者18号…黒髪の男の子。 

花…偶像、又は何らかの象徴となる人。 

精神体…使者たちの心。 いくつものパズルのようなもの。 

【大まかな世界】 

中央層…下界とも呼ばれるこの世界。 大陸と海。 

最下層…地下。 

最上層…空。 浮遊島がある。 

天上層…最上層の遥か銀河の先にある、創造主たちの世界。 


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

どうも、初めましてorおはこんばんにちは、ヨウカズです( 
異世界戦争ものを書きたいなー…と思ってぽちぽちしております! 
キャラクター解説と言うより用語解説みたいですねw 
勿論文中で詳しくやるのですが、「こんな感じになるぜ!」見たいなイメージを持って頂けたら幸いです^^ 
最新はけして早くは無いと思いますが、こつこつ進めていきたいです。 
アドバイスとかいただけたら転がって喜びます( 
では! これからよろしくお願いします! 














この世界に。 
この物語に。 
最愛のあの子に。

3:ヨウカズ:2014/04/30(水) 15:02 ID:23U

青い空にふわふわと浮かぶ浮遊島…… 

その殆どを覆うほどの大樹の大枝には、子供ほどの白い鳥が寛いでいる。 
鳥は白い板がこの島にゆっくりと上がってくるのに気づくと、羽を畳んでそれに乗る人影を見つめた。 
島の周囲を囲む薔薇園を歩いてくるのは、一組の男と女。 

「……私も、ここに来てよろしかったのですね?」 

薄衣の羽衣を身に纏う彼女は、緩く結って垂らした白い長髪を、レンガ道を歩く度に揺らしている。 
柔らかく微笑む緋色の眼は、頭一つ分高い高さを見つめている。 

「はぁ? 当然だろう、お前が居てくれなかったら…… 俺はどう説明するんだよ、おい」 

さも当たり前だと言う様に、黒い和装で腕を組んで、彼女を睨み見る男。 
彼は薄い顎ひげをいじりながら、彼女の腕の中のものを見下ろしている。 

「ふふっ、そうですねーぇ。 あ・な・た?」 
「何こっぱずかしい事言ってんのお前」 

気難しい表情を少し赤らめる彼に、彼女はまた「ふふ」と笑う。 
だが彼のぼさぼさの黒髪を見ては、少しばかり眉を顰めた。 

「けど……貴方のお父様にお会いするようなものですよ? その髪は何とかなりませんの?」 
「ぐ……」

4:ヨウカズ◆R.:2014/04/30(水) 15:42 ID:23U

そう言われて顔をしかめると、彼は帯の飾り紐をほどき、肩に付くぼさぼさ髪を軽く纏める。 

「ホレ、これで文句ねぇだろう」 
「バッチリですわよ~ ……あ、」 

手を合わせて微笑む彼女は、視界に入った鳥に目を丸くした。 

「……こいつが、この前話した[こうのとり]だ」 
「まあ……! これが貴方を運んできたーー」 

「おい、こうのとりぃ!」 

彼はその声を遮って鳥を見上げると、彼女の腕の中のものに手を伸ばす。 

「おいっ、ちょっと貸せ……」 
「あぁん何するんです? 乱暴なぁー」 

それを守るように体を捻る彼女。 

「あぁんやぁんじゃねーよ! 俺が父親だぞ!?」 
「んもー…… 優しくしてやってくださいよ?」 
「…… ったりめーだ」 

そういって豆腐でも持つように、慎重にそれを受け取ると…… 
見せびらかすかのように、腕を挙げて掲げた。 

「……」 
「ほーら、貴方っ」 
「っあ¨ーもー……わーかってる! 

 …… んー…… 

 まあ、そういうことだから! 国はこいつらに継がせるから!」 

それを見受けたこうのとりは、翼を広げ、空へと大きく羽ばたいていった。 

「……さあ、帰るぞ ヨナ」 
「ええ、コンファ。 ふふ…… この子たちの名前、考えながら帰りましょっか?」 

ーー 

彼らが住む地上である中央層。 
その上に漂う浮遊島のある最上層。 

こうのとりは、空気の域すら翔び超えていく。 

その空の更に先の無重力空間、星屑の先、銀河の果て宇宙の果て。 

天上層とでも呼んでみようか。

5:ヨウカズ◆R.:2014/04/30(水) 16:07 ID:23U

ぽつんと浮かぶ雲一つ。 
そこに佇むギリシヤ遺跡のような建物は、きらびやかなイルミネーションに覆われて騒がしい。 

でもちっとも迷惑ではないのだろう、周りには暗い空間しかないのだから。 

こうのとりは遺跡の隙間に滑り込むと、中の騒ぎに目をしぱしぱさせた。 
薄明かりの中にジャズが流れ、人影が床狭しと踊っている。 
こうのとりはキョロキョロと見回すと、目的の人物をようやく見つけた。 
その人は中央のDJ席で、ひとつ結びにした金髪を揺らしてノリノリだ。 
そして丁度、マイクをとるところだった。 

『Yeahー! 八百万古今東西の神様皆々様、もぉーりあがってらっしゃいますかぁー?』 

そう彼が拳を突き上げると一緒に、一帯から歓声が沸き上がる。 

『おーいいねいいね~、暖まってるねー! 
 さーてじゃあ次の…… ん?』 

彼がレコードを変えようとしたとき、一人の人影が天井に目で合図してきた。 
彼が示された方に顔を上げると、こうのとりがDJ席の手すりに舞い降りてきたのだ。

6:ヨウカズ◆R.:2014/04/30(水) 16:25 ID:23U

「おおっ!? え、何……どうしたのお前。」 

思わず彼は黄緑の目を丸くして退き、苦笑いを浮かべては、こうのとりの背を撫でた。 

「また子供たちがやらかしたのかぁ~? 
 え? うんうん、うん……」 

こうのとりに顔を近付ける彼を、人影たちは何事かと背伸びしていた。 
こうのとりの声は聞こえないのに、彼はうんうんと、しきりに頷いている。 

「…… ん、ありがとう! それじゃあ、これからも頼むぞー?」 

彼は全て聞き終えたのか、微笑みながらこうのとりをぽんぽんと叩く。 
それを合図にこうのとりは、イルミネーションだけが賑やかな遺跡を後にした。 

「……」 

しん……と静まりかえってしまった室内。 
彼はハッとして手を叩くと黒い軍服を正し、赤いスカーフを巻いてクラッカーを出し、鳴らした。 

『おーい! 貴方様たちも喜んでくれぇ! 

 使者第三世代目17号18号… 

 つまりは! 
 俺の孫が産まれたんだわーーっ!!』 


ープロローグ 終ー

7:ヨウカズ◆R.:2014/04/30(水) 19:32 ID:23U

【第一幕:恐がりな子/一話】 

暗い、真っ暗闇。 
目を開けても開けてなくても大差無い空間。 
僕は……いえ自分は。 
体育座りでそこにいたんです。 

手足を動かそうにも、鉄がジャラジャラと虚しく打ち鳴るばかりで、何処にもいかしてはくれない。 

「……」 

外は今、どうなっているのだろう? 
自分が居なくなって…… 

…… どうだっていいか。 
どっち道もう、時間感覚なんてとっくに狂ってるんですから。 


そう、あの時みたいに 

『……ゃん……』 

そう、幼いあの時のように。 


今も膝を抱えてる。 
でも見付けてくれる人は居ない。 


ーー世界歴50年。 今から2000年程前ーー 

「きぃーたぁー……ちゃんっ!」 

その日は陽射しが強くて頭が熱くなり、そよ風は青い着物の裾を揺らしてた。 

「うっーー わあ!?」 

後ろから抱え込むようにぶつかってきた衝撃。 
それは特定の人によくされる行動で、名前を呼ばれなくても、相手が誰か理解できた。 

「あ……兄上……」 

うわぁ……お、怒られるかな? 
いきなり飛び出しちゃった訳だし… 

恐る恐る振り返ってみると、兄上は得意気ににまーっと笑みを浮かべていた。 

「へへーっ、驚いた? 北ちゃんが何処にいようと、俺にはお見通しなんです……ぜ!」 
「うぅ……」 
「なーにしょぼくれてんですぜ! 
 ほらっ、とーちゃんがカンカンになる前に帰った方が、後々楽だと思いますぜー?」 
「うあっ」 

そういって兄上は僕の手をとり、お揃いの、だが白い着物の袖をバタバタさせて家へと駆ける……

8:ヨウカズ◆R.:2014/04/30(水) 19:51 ID:23U

「ちょ、兄上っ 手ぇ痛いって! それに、速っ……」 

手を掴む力が強くて思わず、青みがかった黒目に涙が滲んだ。 
足だってちっともスピードが追い付いておらず、時々転けそうになる…… 
それでもまぁ言ったところで、速さを落としてはくれないのだが。 

「ええー? ダメダメ! 早い方がいいっていったぜ?」 
「え……」 

少し振り返られると、相変わらずけろっとした顔でいる。 

僕と同じ、10歳の子供と同じ体なのに……どこにこんな力があるんだろう? 
……いいよなぁ。 

そんなことを思いながら、ぜえぜえ息をついている。 
兄上がまた振り返った。 

「ほらっ、もうちょっと頑張ってーだぜ! 
 全く……この辺りは危ないから行くなって、かーちゃんもよく言ってるんだぜ? 何でわざわざ来るんだぜ……」

12:ヨウカズ◆R.:2014/04/30(水) 21:32 ID:23U

「…… そうだっけ? えと、迷っちゃっただけだよ」 
「……ふうん」 

そうやって「あはは」と笑っておいたが、実際気づかれては居ないだろうか? 

兄上の目は時々、凄く真っ直ぐになるからなぁ。 
まるで、何もかも見透かすような…… 

「ーーミナミ! キタ!」 

えっ 

「うおっ!? とぉ……」 
「ふぶっ!」 

野太い声に兄上が立ち止まると、僕はその背中に突っ伏してしまった。 

「ひゃっ、」 

慌てて僕は兄上の後ろに隠れると、背中にすがりついて目を固く閉じ、息を潜める。 
そんなことしても意味はないのに。 

「……はぁ。」 

兄上の溜め息が、背中を通して伝わってくる。 
申し訳ない気分になりつつも、体は動きたがらなかった。 
だって、あの声は…… 

父上、だ。 

玄関の前で仁王立ちして、僕らの帰りを待っていたのだろう。 
大きな足の音が、ザッザッと近付く程に、心臓は強く打つようになる。 

「ハッ!」 

その音が聞こえなくなって草地に目を開くと、僕らが大きい影に覆われていて、高く小さな声を漏らした。 

ああ……どうしよう。 
叱られて、がっかりされるのかなぁ…… 

視界がゆらゆらと揺れているのが、たまらなく恥ずかしかった。 
だからこそ、顔を上げられる訳もなくて。 

……バカなのかなぁ、僕。 

「……ミナミ。 よく連れ帰ってくれたな、ありがとう」 
「とーちゃん…… いや、双子の兄として当然のことですぜ! 
 あ、でもとーちゃん! キタはっーー」 
「お前は先に家に入ってなさい」

17:ヨウカズ◆R.:2014/05/03(土) 13:39 ID:23U

僕をかばった兄上の声は、父上の厳しい声に消されてしまった。 

「う…… 、はぁい」 
「あ、あっ」 

えっ!? そんな……! 
……まぁ、当然だろう、けど…… 

兄上は口を尖らせて僕を振り払うと、少し跳ねた短髪を揺らしながら、玄関へと消えていった。 
頼りが居なくなってしまい肩を落とすが、そうしてられる状況ではない。 

「……」 

先程から、視線が重い。 

ああ、どうしよう…… 
すっごい、怒ってる 

僕はバクバクする心臓を両手で押さえながら、兄上の背中を目で追って、実際足がすくんでいた。 

「……キタ」 
「ひ、づっ!」 

名前を呼ばれて、思わず変な声をあげてしまう。 

ひい、ぃ…… 

叱られる恐怖から草地に腰が抜け、それを呆れ顔の父上が見下ろしてくる。 
静かだが、とても厳しい人…… 
生まれたときからそう知っていて、育ってきた 
その父上をまた、怒らせてしまった。 

「……ついて来い」 

そう呟くと、さっさと背を向けて、家の裏の丘へ歩き出してしまった。 

「あ、えと…… あ、は、はい……」 

その後ろをあまり離れないように、僕はぱたぱたと走りよった。 

「……えぇい、 遅いぞキタ!」 

そして更に短気な人。 
のんびりするのは好きだけど、自分に合わせて貰えないと途端に面倒になるらしい。 

ああ、また怒らせちゃってる! 

「あ。 ごめ……っひ!?」 

慌てて謝罪しようとしたが、僕の身は軽々と宙に浮くと、次には父上の小脇に抱えられていた。 

え? 

目を丸くして父上の顔を見上げたが、すぐに自身の前髪が風に煽られ、邪魔をされる。 

「こんな距離、とーちゃんの足ならこんなだぞぉおおっ!!」

18:ヨウカズ◆R.:2014/05/04(日) 15:53 ID:23U

はい作者です、こんばんおはにちわん(( 
なんか……序章だけですげぇ果てしなくなりそう(そもそも誕生から書いたのが間違いだった 
なので、新しく書き直そうと思います……; 
葉っぱではなくキャスフィです。 
よろしければ「ヨウカズ」で上がってる作品を探していただけたりなんかしたら((殴 

いやだって、今キタちゃん10歳体型じゃないですか。 
終盤は二十歳体型の予定なんですよ((遠 

まあ……誰も読んでなかったでしょうし……回想の形で作り直したいな、と……(ふっ←遠い目 

ええと、お粗末さまでした…;

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

という、某所で書いていたもの。

自分なりの国家擬人化内容とか設定とか誕生とか。

宇っさんの小さい頃だねうん。

 

 

……

そういやうっさんについてここで詳しく描いた事無いかもw

≪entr'acte アントラクト≫ 暗と楽と 2

二回目のまとめ。 前回は相当貯めてたのであの量ですが、今回少ないっす。

 ヨウカズがおもいついたときにちょろっと書いてるだけなのでね!ね!

大体が夢の無い内容だけど、そんなもんっすよ(おま

でも前回よりは訳わかんなくないか……な?←

恋愛要素(?)もあるか……な?

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

精神力で行動し続ける。感情さえも押さえつける。 
すっかり慣れた筈なのに、時々体は限界を迎えてしまう。 
そうなるとこいつらが出てくるから、また余計に疲れるんだ 

過去に散々哀しんだから、弱音を出すのは嫌だ。連想させるものも嫌だ。 
だから抑えておくのだけれど体は生き物な訳でして。 

でも、哀しいときは、苦しい時は。 
喚いてほしい、必要としてほしい。 
ハリボテの強がりじゃあ息がつまるでしょう? 

って思ってるんでしょうね、あの人は

/

 

明日も明後日も働いて 
常に体のどっかを動かして 
働きます 働きます 私は貴方のものだから 
働きます 働きます それが自分の日課であるから 
労働基準法なんてくそくらえ 
ええ望まれるなら憲法すらも 
無視します ってかスルーです 
私貴方のために働きます

/

 

死者(わたし)は人の過去を覗き見ても 
何も思わないわ 感じないわ 
でも「これ」だけは覚えていて! 

この身を貫いて 私の命を盗った武器を! 
この心を熱く燃えさせた後悔を! 
父を信じきれなかった私の悲しさを!

/

 

私は 貴方と戦って間違ったのかしら 
いつから間違っていたのかしら 

ああ、そう きっとあの時だわ 

胸の高鳴りを無視した時だわ

/

 

ああしたい って駄々こねたって 
こうしたい って申し立てたって 

君には無理だよ って言うんだ 
やめときなさい って呆れるんだ 

むしゃくしゃしてムカついて 
どなり散らして頬叩かれて 

言われたんだ 震えた手が言ったんだ 

私みたいには成らないで って 
平凡だって楽しいよ って 

甘い考えで走ったって 
本気だって折れるんだって 

自信ばっかりは大きくて 
口ばっかり達者になって 
何もした事が無い君に 
本当にあるけるのか不安なんだ 
だって 

世の中夢だけで歩ける程 
甘い様にはできてないから 

/

 

ネットのニュースにかじりついて 
今日もまた仕事みたいに 
誹謗中傷書き込むんだ 
国、人、二次元 叩くんだ 

脂ぎった汚い顔で 
ノックする音も無視に 
暇つぶしを行うんだ 
自分は傷つけないでいて 

新しく立ったスレッドタイトル 
見ては即座にページ戻した 
でもやっぱり書き込んじゃった 


ニートとかwwマジねーわww社会のゴミだわww親御さん可哀想ww」 


とたんに目に入ってくる 
入ってはいたけど気付かなかったものが 

「こうやってすぐ叩くやつ性格ブスだな」 

「自分が言われた時のこと考えねーんだお」 

「鏡見ろw」 

「矛盾してね?」 

「同じ人間として恥ずかしいわー」 

「昼間なのになんでこんな熱くなってんだここww」 

「wwww」 


今まで書き込んできた中で 
自分自身に当てはまるもの 
幾つあったろう 
幾つなんだろう? 
考えるのも恐ろしくて 

今まで書き込んだ中で 
素直に正しいと思えるもの 
幾つあったろう 
有っただろうか? 
認める事も出来ぬ駄々っ子で 

ああきっとそうだ 自分自身が 
腹の底から汚れた人間 


「こんなんと関わるやついねーよ」 
っていう 

新規の書き込みが此方を 
呆れた無機質な字体で見ていた

/

 

「じゃあ聞くけどさ、君はそんなに優れた人間なのかい」 

それを言うのはずるくないですか 

「文句ならリッパニナッテイッテヨネ」 

ちょっと 片仮名とか読みづらいんですが 

「日本語も読めないの」 

いやだからそうじゃなくて 

「自分の事も解らない癖にどうして他人の事が判るのよ」 

ですよねー

/

 

親のくせに とか 
大人のくせに とか 
散々言ってくれますが 

こちとら数十年前は貴方らと同じ 
ガキだったのですよ 

泣きもするし笑いもしますよ 
ちょっと頻繁じゃなくなるだけで

永きを生きた使者さんが無理ゲーすぎた。 2【終了】

先輩の腕を掴む指は華奢だが、女性にしては、なかなか強い力が掛っていた。 

「朱音ちゃん、ちょっ…… 痛いって!」 
「だぁーかぁーらあっ!! ひぐ…… ほん、っとうに酷い人だったんですーっ!!」 

控え目に上げた訴えは受け取ってもらえず、諦めて朱音の訴えに耳を傾ける。 
肩上で切揃えた髪を揺らして苦笑いする先輩は、この太平国のもう一人の使者である。 
太平国はこの二人の使者に恵まれ、独特な文化と高度な技術を有しているのだ。 
先輩というのは、朱音がここ百数年前に誕生した、まだまだ若い使者だからである。 
とはいえその成長と吸収力は目を見張るものがあり、今では先輩の家族のような存在だ。 
先輩は腕の痛さか、返答のしづらさか、苦笑いを浮かべている。 

「う、う~ん…… まあ彼、僕や他のとこの使者との会議でもそんな感じだしね……」 

泣き声が小さくなってくると、朱音は体を起こし、少し眉を寄せながら目元を拭った。 

「はあ…… 二穂先輩はいつも、よくあんな方と会議が出来ますね。 話してて疲れません?」 
「えっ。 えーと、根は真面目な子だと思うけど…… んん、考えたこと無かった、かも」 

先輩こと、二穂は少し目を大きくして、頬をかきながら遠慮がちに言う。 

「じゃあさ、たとえばどんな所が?」 
「そりゃあ、たくさんありますわ!」 

二穂が手を頬から離し、首をかしげると、朱音が背筋を正して話しだした。

「まず第一に、女性に水をかけておいて謝らないのはどうかと思いますわ! 
 指摘しても、暑いから乾くでしょう?、って…… 
 交渉だってそうです! こっちが下手に出てるからって付け上がりますし……」 
「あっ! そうだそう……そっちをまだ聞いてなかったよ」 
「え?」 

二穂がパンっと手を叩く。 交渉内容は、彼を通して朱音に伝えられていたのだ。 

「いやホラ、彼の家……軍備ばっかに力入れてて実質貧乏でしょ? 
 だからそれの援助をする代わりに、核実験とかなんやらを止めてくれないか、 
 っていう頼みだったじゃん。 どうだった?」 
「あ。 あぁ~……」 

とたんに朱音の顔が引きつった苦笑いになっていき、視線が外れる。 
それを見て二穂は粗方察したのか、額に手を当てて首を振った。 

「……ダメだった感じですね? 朱音ちゃん」 
「そんな感じです、二穂先輩……」 

それにつられて、朱音も顔色を悪くして俯く。 

「何であの人あんなに口強いんですか? 
 てか絶対信用されてないですよ、『そういってまた攻め入るつもりですか』とか言いますし、 
 『自分のとこが何しようと勝手でしょう』とか言っちゃってますし……」 

朱音の脳裏には、明麗の使者の冷やかな無表情が浮かんでいた。 
彼は終始、そんな感じだったのだ。 

「……」

ふと押し黙ったかと思えば、二穂は重い表情で畳を眺めていた。 
口を横に結んで短い眉を寄せており、目だけが深く落ち込んでいる。 
二穂は時折ふざけたりしつつも、しっかりしているのだが、こんな表情はあまり見なかった。

「? あの、二穂先輩?」 
「へっ!? あ。 あー、ごめんごめんっ! ちょっと寝ぼけてた……」 

軽く肩を叩いて話しかけると、二穂はハッと我に返ったように、頭の後ろをかいて笑った。 

「え……」 

朱音の緊張もふっと切れて、肩を落とす。 
何事かと思って冷や汗が滲んでいたのだ。

眉を寄せ肩を怒らせる朱音を、二穂は苦笑いしつつ手でどうどうと宥めようとする。 

「ごっ、ごめんって! ええー、と。 じゃあ今回交渉をしてみて、特に進展は無かったと?」 
「っ、…… まあ、そういうことになっちゃうんですよね。 
 今日のために先輩が何遍も頭を下げて御機嫌とって、やっと得た機会でしたのに……」 
「だからこそ! 何っの成果も得られませんでした! な報告はできないよ!?」 

そういって二穂は深刻な顔で立ちあがると、握りこぶしを固くする。 
息を付く彼には「ある案」があるのだが、それを行うことに少々渋っているようだ。 

「……でも、こうなりゃ親族に頼むしかないよねえ」 
「? 親族、ですか?」 

首をかしげる朱音に二穂はハッとする。 

「あっ! そっかぁ~……朱音ちゃんには、まだ言ってなかったっけ」 
「何をですか?」 

朱音は頭に疑問符を増やして問いかけると、彼女の顔を見下ろして話しはじめた。 

「いやホラ、明麗共和国「じゃない方」の明麗さんいるでしょ? あの人――」 


その時、ガラガラと玄関の引き戸が開けられた。 
音と同時に二人の視線はそちらの方へ向く。 


「にぃーぽぉーちゃあーん!」 

飛び込んできたのは、明るく低い声。

「あっ、やっと来た!」 

二穂は襟元を正すと、小柄な体をパタパタさせて玄関へと走る。 

「えっ? ちょ……」 

突然のことで目を丸くしてキョトンとする。 
朱音もすぐ立ち上がって、良く分らないまま後を追った。 

「先輩っ、来客なんて聞いてませんわ―― 
                                よ?」 

「もー、来ないかと思ったじゃない」 

玄関では朱音より二回りも背の高い青年が、二穂と挨拶を交わしていた。 

「いやーだってこの暑さですぜ? 午後涼しくなってからにしようと思ったまでですぜ!」 

呆れた声の二穂に、腰に手を当て胸を張る青年は、少し肌が日に焼けている。 
耳辺りまでの黒髪は、染めているのか少し茶色っぽく、左に分けた前髪には深緑のメッシュが入っていた。 
第二ボタンまで開けた赤と黒のチェックシャツ、ロールアップしたスキニーとスニーカー。 
その間に覗く、左が星柄で右が赤ストライプの靴下、肩から掛けているのは高そうなカバン…… 

「にしても今時引き戸って、不用心にも程がありますぜ?」 

違和感のある敬語を使って馬鹿にしたような笑みを浮かべる彼は、ザ・都会っ子という感じの風貌だ。 
背の低い二穂と、どうしても比べてしまう。 

「いいじゃん、気に入ってるんだからさー!」 
「いや、だからって。 これ、俺がちょっと頑張れば壊せそうなレベルじゃ――……、」

ふと、ぽかんと立ちつくしている朱音に目があった。 

「ん?」 
「、っ」 

どきり。 
はっとするような二つの目玉が近寄ってくる。 

「あー。 この子がにぽちゃんの言ってた~」 

まるであのメドゥーサと目があったように、一歩後ずさっても、不思議とその視線は剃らせれない。 

何て言うんだろう、この存在感は。 

「妹ちゃん、だっけ? へ~ぇ、話で聞いてたのより、結構可愛いんだぜー!」 

そう言いながら微笑みを浮かべる彼は、軽く跳ねた毛先をいじりながら見下ろしてくる。 

「あ、あの……?」 

あまり相手の言葉が頭に入らず、朱音は引きつった笑顔で戸惑ってしまう。 
その様子を溜息つきながら眺める二穂。 

「もー…… 君らみたいに兄弟では無いって言ったじゃん! みょんちゃん!」 
「みょんちゃん!?」 

朱音は目を丸くして、ばっ、と二穂に顔を向ける。 

「な、何ですかそれ!」 
「ううぇっ!? え、その……あだ名、だけど……」 

キョトンとする二穂から「みょんちゃん」に顔を戻すと、背伸びしてまじまじと、食い入るように見る。 

「……」 
「えっ!?」 

少し太いが、すっと通った眉毛。 
案外しっかりしている体格。 
人目を引くであろうぱっちりしたアイライン。 

「あの、妹ちゃ……?」 

じっと見られているせいか、彼の軽く焼けた肌が少し赤らむ。 
少し困ったような、それでもまんざらでもない様に頬をかく。 

「えと、俺の顔に何か付いてますぜ?」 
「……」 

朱音には二穂が彼に付けたあだ名が衝撃的過ぎたのか、そのことには気づいてないようだが。
だってこう思っていたのだから。 

この顔に「みょんちゃん」は、ダサい。 

「みょんちゃん」は目をぱちくりさせる。 

「あ、自己紹介まだだっけ。 俺ー、李明成(イミョンソン)って言うんですぜ!」 

目を細めて歯を見せる彼には、とてもそのあだ名は似合わなく思えた。 
朱音の口角も余計に引きつる。 

「だから、「みょんちゃん」って呼ばれる訳で!」 
「僕の事も二穂をもじって、にぽちゃんって呼ぶもんねー」 
「な!」 

ニコニコと顔を見合わせてへらへら笑う二人。 
そういえば二穂もにぽちゃん、なんて呼ばれていた。 
ちょっと頭が痛く感じながら、朱音は二穂に問いかける。 

「えっ、とー …… 先輩、誰なんですかこの人」 
「え? ああ、「もう一つの明麗」――

 大明麗国の使者だよ。 共和国の方の使者の、双子のお兄さん」 


「は……?」 

二穂があっさりといった言葉は、すぐには理解出来なかった。 
混乱する頭を整理しながら朱音は問いを続ける。 

「はいっ? え、えと……ちょっ、ちょっと待って下さい! じゃあ、先輩の言ってた親族って……」 
「そうそう! みょんちゃん!」 

ころころと笑いながら手を叩く二穂に、朱音は言葉が出なかった。 

「え……」 

ああ、解った。 
先程からどうして彼の視線に引き付けられていたのか。 

「んで、俺は何で呼ばれたんだぜ? まだ何も聞いてないんだぜ」 

問題は彼の目の色だったのだ。 
ヴィーラーとマスカラがかけられた睫毛に浮かぶ目の色は、青み掛かった烏のような黒……だったから。 


[二話:交渉失敗を聞いた先輩 終]

永きを生きた使者さんが無理ゲーすぎた。 2

館内の白い壁に挟まれた廊下は、いつも綺麗に磨かれている。 
その磨き具合はこの着物に近い民族服の、くるぶしまでは有ろう……フレアスカートのような長い裾を、くっきりと写す程だった。 
自分が歩く度に、焦げ茶のブーツはカツン、コツンと良い音を立てる。 
その音は静まりかえった館内にゆっくりと染み渡り、自分の使命と立場を自覚させる……自分はこの音が、凛としていて好きだ。 
が、自分は然程気分が優れない。 

「……」 

そう。 
後ろを付いてキョロキョロと館内を見渡すこの存在。 

「窓は勝手に開けないでくださいよ」 
「そ、そんな事考えておりませんよ!? おほ、おほほほほ……」 

我が国は愚か、この東方を占領していた過去の大国…… 
太平国の使者が、後ろで繕った笑いを浮かべているのだ。

はぁーあ、…… 

口をきゅっと結んで沸き上がるむかむかを抑え、自分は少し早足になる。 

全く。 
上手く行けば相手から物資を得られるとはいえ、その相手がよりによって……我々を一番踏みにじっていた太平国!? 
こんなやつの要求を聞き入れてやるだなんて、陛下も将軍も何を考えているんですか……!! 

口内でギチギチと歯が鈍く鳴る。 
舌打ちして罵倒してやりたいのはやまやまだが、それでは先程のこやつと一緒になってしまう。 

それではあまりに情けない話です、ここは冷静に対象していればいいのです。 
そうですよ、そうに決まってます! いつも通り、いつも通り……でも下手になってはいけませんね。 

そう心の中でうんうんと納得すると、廊下の途中に二つ並んだ黒い戸を見付ける。 
それを見たときに、彼女の頭が濡れてることを思い出した。 

あ、そうだ…… アレでいいか。 

「貴方」 
「はい?」 

彼女は微かな微笑みを浮かべて立ち止まる。 

うわぁ…… 

「……ちょっと待ってなさい」 

自分はその気持ちを表には出さず、黒い戸の一つに手をかけて入る。 

「……」 

なんなんですかあの笑い方。

狭い個室に即座に鍵をかけると、三歩も歩けばぶつかる壁を睨み付ける。 

最初はいけしゃあしゃあと物を言ってた割にゃあ、こちらが引いたら急ににこにこ作り笑いしやがって。 
見え見えなんですよそういうの!! 
これだから信用ならない!! 

「ふんっ、」 

自分は壁のフックに掛かったそれを引ったくると、自らを宥める為に胸へ手を当て、目を閉じて何度か深呼吸を行う。 

……相手が何処の誰であろうと、自分のすることはいつもと同じだ。 
心配すること等有りはしない、何も。 

「……はぁ」 

次に目を開けたときには、平静とした心境に落ち着いていた。 
しゃんとすると、ドアノブに手をかけて捻る。 
彼女は自分を見るなり、少しひきつった笑顔で会釈してきた。 
ああ……口角が疲れてきたのだろう。 
そう思うと納めたものがまた顔を出しそうになるが、すぐに考えは改まった。 

苛立っても足元すくわれるだけだ、先程のこやつがいい例ではありませんか。

周りを無駄なく利用するには、常に客観性が欠かせない…… 

彼女から窓の外に視線を外すと、遠くを見るように目を細める。 
自分は薄く息をつくと、肩がそれに比例するように落ちた。 

未だに充分に感情をコントロール出来ないとは…… 
精進すべき所は、尽きないものですね。 

「これ、使ってください」 

自分はさっき取ってきたそれを軽くまとめると、彼女に投げやるように渡す。 

「あっ」 

反射的に彼女は腕を出して受け取った。 
それを確認すると自分はまた背を向け、スタスタと目的の部屋へ急ぐ。 
だらだらと長引いてもしょうがない、さっさと終わらせたいのだ 

「あ、使い終わったら持っててくださいね。 帰りに渡してくれればいいですから」 

そうして振り返りもせず付け加える。 

「え……と、これ……」 

遠慮がちに出されたその声には、少し震えが掛かっていた。 
握り拳に爪を立てて立ち止まると、ちらと見やった彼女は苦笑いで、少々不満そうであった。

「……不清潔だとでも言いたいのですか?」

そう溜め息混じりに言うと、彼女は 

「い、いえっ! そうでは、なく……」 

なんて手で否定して笑顔を貼り直す。 
そんな行動も、自分には不快以外の何物でもないのだが。 
まあ彼女はそれが、穏便で楽な方法だと思ってるのだろう。 

これだから嫌なんですよね、表面上取り繕ってる奴と話すのは 
しかも少し前まで平和とは程遠い行動をしていたくせに 

「はぁ…… ほら、つったってないで此方へ来なさい」 
「はい、どうも」 

不満気に手で合図すると、てこてことはにかみながらやって来る。 

そんな、へらへら笑わないでもらいたいのに。 

自分は彼女が追い付くのを待たずに、部屋へさっさと入っていった。 
そのせいで、彼女の呟きは耳に入らなかったのだ。 

「湿ってはないですけど…… これ、トイレの手拭き用ですよね?」

 

 

 

案内した部屋は木の机と椅子が二つあるだけで、窓もない殺風景な部屋……警察の取り調べ室に近いだろう。 

「……」 

その机に触れると、昔の事を思い出してしまう。 

ああ、あの時もこんな部屋だったっけ…… 
まぁそれは今は置いておきましょう。 
それより今大変なのは、 

「あ……。 か、変わった内装ですね!」 

わざわざ下手に誉めてくる、髪を彼女と交渉しあわなくちゃいけないのですから 

そう思うと気が引けてくるが、思っても仕方ないので彼女に席を示す。 

「では、貴方は奥の席に……」 
「あの……」 
「はい……?」 

思わず疲労感のある声色で返してしまった。 
ああ、もう。 今度は何だと言うのだろう。 
普通こんなにもスムーズにいかないものなのだろうか? 
彼女は人差し指で自身をさして続ける。 

「私、ちゃんと華琉 朱音っていう名前がありますの 
 あなた、なんて名前じゃあ……」 

もういい加減はじめましょうよ…… 

これ以上は頭が痛くなりそうだ。 
自分は席に着きながら応える。 

「別に特別親しくなる予定もありませんので、名前は結構です」 

そうです、なりたくもないですが…… 
…… それも、相手は同じか。 

「う…… で、でも、呼ぶ時困りません?」 

続いて席につく彼女……華琉は、なおも食い下がってきた。 

ええいしつこい…… 

「では明麗側とでもお言いください」 
「でも……」 
「あ¨あ、くどいですよ? とっとと初めましょう」 

その後一対一で開かれた極秘交渉は、なかなかお互い、思うようにはいかなかった。 


紺の瓦屋根に松の木。 
和風家屋と言う名が似合う長屋のような家から、叫び声がこだまする。

ここは太平国の都会から、少しだけ外れた家。

世界がどれだけ発展しようと、歴史あるものは完全には失われないのであろう。 

少し古びた「日乃出」の表札が、そう物語るように玄関に掛かっている。 

そんなのどかさを掻き消した声は、家の裏に回って縁側の方から聞こえてくる。 


「うわあぁぁーーあぁあん!!」 

そこにはついさっき大使館から帰ってきた彼女……朱音と、ぱつんと切り揃えた黒い前髪が特徴の、目をぱちくりさせる「先輩」がいた 
彼女は鶯色の着物の膝に顔を埋めて泣きじゃくり、先輩はその頭を優しく撫でる。

≪entr'acte アントラクト≫ 暗と楽と

先程と同じくですが、こちらは詩。

暗いものから親子ものまで色々書いてたり(

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

求めたのは居場所と毛布。 
失ったのは大いな光。 
それにより得たのは恐怖。 
さらには損得勘定。 
最後の仕上げに外装 
創りたてだけど 
さあ行きましょうか。 

妬んで跳ねあがるpower? 
アがってくpride? 
違う。 
最も警戒すべくは歯止め聴かぬ成長欲。 

なんてぁぁもう致し方が無い。 
止まる術等持ってない。 
一本道なら何時だってそこに。 
踏み外しは許されない。 
この身は大して重くは無い筈なのに、 
一歩踏む度崩れ落ちる。 

だから嗚呼致し方ない。 
死なないために奥へと 
進んでイキましょう。 
止まることは許されない。 
強い自分を守って住こう。 

さあ咲かせましょう深紅の舞 
最後の一ひらが 
落ちる場所はきっと決まっているから 
突き立てて差し上げよう。 
叫び声なんて聞こえないでしょう。 
こんなに綺麗になったよと 
いったら褒めてくれますか? 

さあ舞ってみせましょう 
深紅のベール翻し 
この脚で突き立てて魅せましょう 
最後に笑うのは。 
ええ決まっております 
勿論無論自分の方です。 
恐れながら立てましょう 戦勝宣言。 

さあもう致しかたない、から 
玉座に腰下ろして、さあ 
それで安心できますかね 
「もう歩きたくない」 
と駄々ごねて。 

得たものは何? 
失ったのは何? 
いえいえ何も失ってなどありません。 
最初から何も持って無かったのですから。 

滑稽に、狡猾に無邪気に、 
邪気に、傲慢に我儘に、 
悲しさに、声に孤独に、 

果てに得たものは隣の 


                             空虚。

/

 

アントラクトとは? 

【間奏曲】より 
…(3)劇やオペラの幕間に奏される劇間音楽で,通例,器楽曲。 
17世紀後半以降,インテルメッツォintermezzo,アクト・チューンact‐tune,アントラクトentr’acte 
などの名でも呼ばれ,シューベルトの《ロザムンデ》,メンデルスゾーンの《真夏の夜の夢
などの間奏曲は代表的なものである。これらは単独に演奏されることも多い。… 

…だそうです!( 


おはこんばんにちは、もしくは初めましてですヨウカズです。 
しょっぱなから自分の趣味前回でしたが、どうなんでしょうね?これw 

何もを失った子が唯一見出した欲求へ進み、自滅して行く… まあ、そんな内容です(キリィ← 

あまり甘々したのが書けないヨウカズですが、これを機会に練習…と、 
制作予定の小説のネタ作り?的な感じで作っていきたいと思います。 

ですから一般受けしないかもしれませんねw 

それでもよろしいようでしたら、転がってる1つを手に取って頂けたら、 
それは幸いなことなのでしょう。

/

 

ふと見渡した時には 一人暗い穴に立っていて 
見上げた青空は 背のびして届く高さじゃなくて 
その縁で笑う彼らは 僕に気づくわけもなくて 

あぁそうか ここは穴じゃない 

周りの人が伸ばしてった柱の間に 
いつまでもうずくまっているだけなんだ 

僕がここでただ一人、うずくまっているだけだから 



それなのに それだけなのに 
なんでかやたらと喧しいな 

その声の正体は 上から垂れ下がる古式受話器 

『なんでうずくまってるの なんで顔をあげないの』 

「煩いよ 鬱陶しいよ」 
惨めな姿を笑われまいと 

内弁慶ふりしぼって 
柱の合間に逃げ込んだ 



疲れたよ 疲れたのに 
なんでか足が止まらないな 

すすり泣いてる原因は 寄生虫「弱虫」のせい 

弱気に内気に目立たずに そのくせ無いものねだってばかり 

そんな僕を止めるように 
置いてくれたんだろうこの罠を 

体転ばしたそれはきっと 僕を強くする 

秘密道具 



ああ なんて 心地いい 
優しい 暖かい兵器でしょう 

ああ なんて 頼もしい 
我慢 必要 無いでしょう 

しかし これを使うには 
寄生虫「弱虫」が邪魔ですね 

だったら閉じ込めておきましょう 

良心 弱味 泣き言 
捨てて 

酷心 強気 嘲り 
装備して 

さぁどうだ 行ってみようか 
これできっと飛べるはず 

僕に 気づかなかった彼らは 
僕をきっと見上げるだろう 

ぶら下がる古式受話器の声 

発射音に欠き消された 



人がゴミの様だ とは 
よくいったものだ 

眼下、凝らさねば見えない 彼ら 

誰よりも高いこの柱 
頂点の王座に腰掛けて 

「ちょっと高いかな」 
って嫌味言ったのは 

待ってよどっちの方だっけ 



出来ることならばもう少し 影よ刺し込んでやくれないか 
「出過ぎた事を」と言われるだろう 誰か 横に座ってやくれないか 
でも仕方ない 致し方無いだって 

あぁそうさ この僕様を 

造り上げたのは僕自身でさ 
自ら望んでた気がするんだけど 

なんでか不思議とこの玉座は、落ち着きやしないんだ



そうだった あぁそうだった 
あんな風に輝きたかったんだ 

だけど それらの輝きは 
日々少しずつの賜物で 

少し考えたら解るじゃあないか 
地面からいきなり天へなんて 

登りつめたとしても 
ろくなもんじゃないだろうって、 

ねぇ 



誰からも見えない程高い 
誰も見向きしやしない 

玉座の上で独り縮こまり 膝を抱えた常態は 
この場所を望んだ時と 大差なんぞありゃしない 

無理矢理伸ばしたこの柱 
日々少しずつをサボった柱 

よく見りゃそこかしこヒビだらけで 
世辞にも立派とは言えぬお姿だ 

しまいこんだ筈の弱味も涙も 
今更になって溢れてきた 

その雫の 衝撃で 
一瞬にして 崩れ去るくらい 

僕にも 僕の心にも 
僕は 無理強いしてたのだろう 



まぶたを開けると 空が見えた 
瓦礫の上だが とりあえず見えた 

それがどうしてか安心して 
寝転んだ頭にぶつかった機械 

またもや垂れ下がってきた 
古式受話器が こう言った 

『お帰りなさい、お帰りなさい 
 長らくお待ちしておりました 
 メッセージを一件 預かっております 
 速やかに再生いたします』 

ー ー ー ー 

『ねぇどうしてさ 閉じ込めるんだい 
 本当に心から 要らないのなら 

 今すぐ全て 離して頂戴 
 君は僕が要らないんでしょう?』 

ー ー ー ー 

そして やっと 気づいたよ 
そっと ちゃんと 抱きしめたよ 

涙声の こいつはきっと 
僕の嫌ってた僕だから 

わかったよ 教わったよ 
そうだ今から はじめようかな 

僕を乗せている この瓦礫を 
日々少しずつ 育てていくんだ 

そしていつか きっと彼らと 
同じくらいの柱になろうと 思うよ

/

 

奇数より偶数の方がいいと僕はいう 
奇数じゃ僕は余っちゃうから 

奇数でも良いじゃないと君達はいう 
一人より二人より、三人になれるから 

それが嬉しくて前を向けなかったよ 
顔がぐしゃぐしゃだったろうから

/

 

別にあいつは君が妬ましいとか 
憧れてるなんて思ってやしない 

ただ日頃の退屈や鬱憤を 
散らすのに丁度良かっただけ 

そうやって今日も押し黙って 
膝抱えて唇結んで 

待っておくれよそこで泣かなきゃ 
君の負けだろう なあ君の負けだろう 

だってそうだろう? 

助けを呼ぶ根性も無いくせに 
歯向かう根性もないと来た 

だからまたまってんだろう? 
「きっと」の誰かの「ちょっと待ちなよ」を 

ホラ泣いたらどうだい泣いたらどうだい 
一滴で君はそう完璧な被害者 

あいつの良心に火がつくことでも 
お願いしながらすすり泣け 

だってそれしか出来ないんだろう

/

 

体育館ホール 新入生で満席の状態 
体育館ホール 天井突き破る黒い光 

おいおーいちょっと待ってくれよう 
今日から始まる新生活 
夢見ちゃってんで、ときめいちゃってたんで 
でもそんなサプライズ要らねえよって 

おやおや目凝らせば 何やら見覚えがあるようで 
おやおやあの面影は 待って喉元まで来てんの 


体育館ホール 最早混乱で無法地帯だい 
体育館ホール の天からの黒い光 

周りを突き飛ばし はねとばし 
まるでそうそれは暴走列車 
こないだやったゲームに例えるならば 
あれは暴力系少女 

おやおやなんとまあ 手がつけられないやお手上げだ 
ここらでそろそろ 英雄のおでまし何だろな 

てかあれ俺の幼馴染みだよね 

体育館ホール にやってきた黒い閃光弾 
体育館ホール それを蹴散らす英雄さんが来た 

真白い光に包まれた 
そうきっとあれは最終兵器 
清く悲しい最終兵器 


白の光の大勝利 
立ち上がる学生 止まらない拍手 
俺もとりあえず隅の方で 呆然と手を叩いていた 

いやちょっと …思ってなんかないよ 
あそこで俺が止めれてたかもなとか 
そしたら黒いのしょぼくれないねとか 

あいつこっちに向かってたよなとか 


黒い子は初日から退学通知 無理もないけどそうなった 
白い子はみんなのマドンナさ 興味ないけどそうらしい 


時計の針を捻って 3時間と25分前に戻れたら 

きっと言うよ 君が全部蹴散らす前に 
俺の臆病で突き放し続けてたのを恨んでいたんだろう 

だから俺の方から駆けて言うよ 君が好きだったんですよ 


・・・ 

・昔、受け止める勇気が無くて、両思いにも関わらず、突き放した女の子がいた 
・暴力系少女と男の子、入学式で再開。 
 頭に血が上って彼のもとへ一心不乱に走る走る 
・最終兵器は…うーん、委員長タイプの女の子?(( 
・男の子、女の子をおもいだす 
・あの時ああしていれば… 

的な(( 
出来映えは、うーん… …失敗?(笑) 
無理矢理終わらした感がある… 
てかよく考えずに寝惚け眼で書いてたからなぁ…(おい 
まぁこれも思い出になるのかな?うん?

/

 

僕はあいつに負けたんだって 
今は立派な下僕なんだって 
王者君臨だとでも言いたげに 
細い背を蹴り飛ばしてきたんだ 
胃の中の許容量を軽々と越える 
煮え湯飲まさせられ続けたんだ 
けど、尚仕方ないと僕は 
虚勢張っては呟いたんだ 
痛くも痒くもねぇよ ってさ 

【敗者のプライド】 


(斜めに読むと…?)

/

 

お前はいつも叱られると 
しょぼくれた顔で押し黙るな 
俺はその頭見る度に 
ほらまた溜め息が増えてしまう 

立派になんかなれなくてもいい 
俺は社長でも英雄でもないだろう 

人に優しくできればいい 
偽善がなんだそれが悪いことか? 

お前は俺の 
大事な大事な息子なんだぞ 

胸張って歩いてくれればいい

/

 

はじめまして お初にお目にかかります 
自分は神子というそうです よろしくお願い致します 
貴方はええと、将軍Summer? 我が上司 

泥沼から救い出して下さった 
神様に使える大仕事 

お任せください そう 
自分が貴方についた 暁には 

どんだけ傷ついたとしても 
どんだけ苦しんだとしても 

貴方Summerの為に 千度でも立ちましょう 

ーー 

住み着いた地が朽ち果てるまでは死なない 
それは父上に聞いたこと 

ああ、そうだあの人は 
自分をかばっても死ななかった 

てことは! 

お任せください 我が上司 
貴方に投げられた槍が剣が、 

どんだけ痛かろうと 
どんだけ貫こうと 

貴方様の御身を傷つけさせはしません 

ーー 

貴方様の道を邪魔する輩は 
自分がこの手にかけて 腕を奮って魅せましょう 

貴方様が大きなオモチャがほしいと言うのなら 
何事でも練習にお使いくださいな 

別に死にませんし また治りますし 
でも自分以外の人はそうじゃないですから、 

どうせ同じことをするならば 
犠牲が出ない方にしてくださいな 
確かにあの子はミスしましたけど、 
それも自分が何とか 

…… 

あっ。 

ああそうかそうですか 貴方様 
もしやもしやとは思ってましたが 
正真正銘まごうことなき独裁者なのですね? 

いえ、何でもございません 
貴方様は恩人ですから 
自分に名前と居場所、くださいましたから 

だから本当、何ともないですから 
ですから、その… 
処理は自分にお任せください 

汚れてしまうでしょう? 

ーー 

どんだけ空腹でも 
どんだけ眠くても 

精神力で補えると お役に立てると思っておりました 

どんだけ痛んでも 
どんだけ震えても 

押し潰して 平気なふるまい 
完璧にこなせると思っていました 

ああ、でもそれも、永遠ではないのですね 
限界の来た体に鞭打って 
嫌がる叫びを閉じ込めて 
いつか必ずそれも限界がきて、 

ああ溢れ出す 

自分は理由も無いのに泣くのでしょう 
心深くに押し潰してた もの達が溢れてきたんでしょう 

でも 

貴方様のせいじゃ、無いんですからね 
そうこれは自分が弱かったから 
可哀想なんて、まだ思えてるから 

大丈夫です また、こんなもの鍵かけて 
置いて 於いて 終うので

ーー 

我慢するんだ 我慢するんだ 
今が頑張り所だよ自分 
どこにも行けないのなら 
最大限に努力しなくちゃ 

いつか頭 撫でてくださるかな… 

考えるだけで頭垂れてしまう 
なんて…ああ今更そんな、 嫌だ 


……。 

あ… 


自分はもう限界です、 
恐れながら申し上げます 
もうどこも…動きません 
お腹は…空っぽです 
何日も前から…空っぽです 
それでも貴方様が為に 
気力をご飯に脳廻しました 
でももう 
ごめんなさい ごめんなさい 
喋る力も持ってないから 
喋りたい相手も居ないから… 
喋りたくも…ない。 

ーー 

は…… 

っが、… 

ぐ…ぅ 


ーーそれでも! 

貴方様が立てと仰るのなら 
戦線の遊戯を御所望なら 

立ちましょう 叶えましょう 
支える骨はまだ有りますから 

お任せください 心配ご無用 
あぁしたことなんかないですよね 

口が過ぎました お忘れください 
それではいってきます 将軍Summer 

今度こそしっかりと押し殺しておきましたので 


【稼働原料自家生産形忠臣】

/

 

誰も悪くなんかないよ 
って貴方は言いますが 

じゃあワタシはこの気分をどこにぶつければいいの? 

いっそ、ワタシのことを罵って、喧嘩させてよ 

そしたらワタシ、貴方を殴れるでしょう 

でもそしたら貴方こう言うの 

「そりゃ 僕だってねぇ」 

わかってますよ 


【事故】

/

 

伝える為に必要なのは 

口に出す「言葉」 
体で示す「行動」 
そしてやっぱ「愛」 

「行動」がなかったら口先だけみたいだし、 
「愛」がなかったら無論演技していることになる 
じゃあ「言葉」がなかったら? 

…… 

他二つがちゃんとしていれば、案外伝わるケースもあるものです。 


【「好き」を伝える話。】 

・・・・・・ 

からだ はりさけそうなほど なにか 
つめこんだ 

なー んだろう? なー んだろう? 

「ここ」がふわふわ あたたたかいの 
へー んなきもちだね 

つっ つくと われちゃいそうで 
つつむと いごこちよさそうね 


からだ はりさけそうなほど それを 
つめこんだ 

なー んだろう? あー きっと、 

これだよ 


ゆうやけ きらきら ふたりでみようよ 
こーこーろ きもちいね 

いうのは むつかしいけど 
まぁでも つたえられてそうね 

「さ、歩こっか」 


【♪からだはりさけそうなほど】 

ふわふわした童謡みたいなイメージで書きました。

/


芸術家は言った 

人間は愚かであるが、偉大な発明品である 


また科学者は言った 

天才は自分を天才とは思わない 
ただ他人の何倍も努力しただけだ 


更に哲学者は言った 

忘れないでね 
君のその魂は貸してるんだ 
乱暴に扱わないでおくれ 
80年後位に返しとくれよ 


そう 
神様は言ってきた 
夢枕に立って 


【ほにゃらら主義】

/

 

頭が重い 体も重い 
ぶっちゃけた話動きたくない 

何かやりたいなぁと思ってみても 
何かでかいことやったるぞって意気込んでも 

妄想の中でばかり完成していって 
実際やると大して面白くもなくて 

いや、わかってるんだ 
こんなの現実逃避だって 
他のことを考えて 大切なことから目をそらしていたくて 

そんなんしても現実何か変わるわけでもないし 
経験上 後々とんでもないことが起こるんだろうなって 

解ってるさ 
それだけは本当に理解している 

でもなぁ 

動きたくないねん 


【俺はまだ本気出してないだけ】

/

世界から見れば貴方の待遇は 
どれだけマシで心地良いことでしょう 

ご飯があって 床のある家があって 
一人じゃなくて ああ幸せじゃないの 

なんて言うやつがいるからさ 
いってやりたいんだ 
「ふざけんな」 

そりゃ別に僕はこうして生きてる訳ですから 
これからもピンピンしてる訳ですから 
でも自分がそんなに大事な訳じゃないんです 
何時もこんなクソみたいな世をオサラバするチャンスを 
見計らってんです 

小さい頃から泣き虫弱虫で 
いつしか友達に見捨てられて 
膝抱えてたら飴を出され 
受け取ってみたら掌返して 

やっと愛した者すらきたねぇ物に 
奪われて塵になって何度後悔しただろう 
持ちあげて落として楽しみたいなら 
ねえ いっそ一度でさ 
叩き潰せっつってんだよ 

今日も足元だけ見て溜め息付かずに 
馬鹿にしくさった顔練習して 

けれど僕みたいな弱虫が 
虚勢張ったとこで 天井知れてて 


今日も下らない誰かの口は言う 
「世界から見れば貴方はまだ 
 こんなにカクカクシカジカ」と 
うるせぇよ なんだってんだよ 
お前さんそんなにお偉いのかい 

僕は傷ついた内にも入らんのかい 
これ以上もっと傷つけってのかい 
そしたらお前さん抱いてくれんのかい 

世界で一番苦しんだ者じゃなきゃ 
この身を抉ったあいつもそいつも 

恨んじゃいかんのかい 
泣いちゃいかんのかい 
怒っちゃいかんのかい 
妬んじゃいかんのかい 
なぁどうなんだい

/

手が震えている 
何故でしょうかね 

別に神経に何かしら抱えてる訳でもないのに 
体中の血が昇ってきて 
不思議と鼓動が大きくなって 
行き場のない憤りが渦巻く 

まだ手は震えている 
なんなんでしょうかね 

悔しい? 違うなあ 
痛い? 全然違う 
嬉しい? ちょっと近い 
わからない? うん、わからない 

だんだんどうでもよくなってくるしね 
恐らくすぐ忘れてしまうよ 

火照りも もどかしさも 苛立ちも 

明日にはけろっとしてるだろう

/

 

別にそんなんじゃあないのに 

確かに私はあまり喋らない子 
いつもこくこく頷いて押し黙る子 

でもそれは 

あの人はきっとこの言い方をしたら違う風に捉えちゃうかも、とか 
こう言ったらこう返ってくるだろうから、あらかじめこう言っておこう、とか 

色々考えているからなのです 
馬鹿にしてもいないし、ましてや傲ってもいないのに 

それとも、考えないほうがいいのかな? 
そう思って自然を目指したら 

今度は無神経だの口だけだの 
じゃあ私はどう話せばいいのかな 

いっそ何も、話さない方がいいのかな 


【普通の会話が分からないから、話すことを辞めました】

/

 

父が私らのことを怒鳴りつけた 

テレビを見てるのが気に入らないのだろう 

弟は「昨日勉強した」と被害を抑える 

私は何も言えず黙ってうつむいて 

しきりに動く指先を眺めてた 

洗濯を終えた母が仲介に入る 

短い言い合いだけど重苦しかった 

やがて父が「言い過ぎた」と呟いた 

「そんな顔をするから怯えちゃうのよ」 

少し肩の下がった 父の背が見えた

/

 

ごめんなさい 本当に 
ごめんなさい 本当に 
どうにか愛されたいとは思っておりますが 
私はあなたが嫌いな訳じゃあないのですが 
無論あなたが私を嫌いじゃあないことも知ってますが 
私はどのようにあなたを愛せばよいでしょうか 
どのように動けばよいでしょうか 
私の誕生を喜んでくれた貴方方に

/

 

貴方の人生にはいつも風が吹いている 

それは貴方の背中を押したり 
貴方を優しく撫でたり 
かと思えば突風に煽ったり 
台風に巻き込んだり 

もみくちゃにされ降り乱され 
枝に絡まり服は裂かれ 
すっかり見る影もなくなった 

ほら また竜巻だ 
そよ風を奪う嫌なものだ 

止しなさいと言ったのに 
また傷がつくと知っているのに 
それでもひとりで進んでいってしまう 

それで平気なの 強い人なの 
そういう訳でもないらしく 

もしかしたら強風に 
湿った頬を乾かしてもらっているのでしょうか 

つかみどころのない、 
貴方は風のような人 

そんなやり方でしか、深い悲しみを吐き出せない 
不器用なお方 

ああ、どうしたら 
どうしたら私は そよ風になれるでしょうか 

そしたら私きっと 穏やかに拭ってあげられるわ

/

 

時間は有限 
永遠は無限 

この世に永久的に不変で存在し続けるもの 
それが永遠ということ 

それを創ろうとでも思うなら、それは時間の流れに逆らうこと 
世界の摂理にあらがうこと 

不思議なことね 
絶対の永遠なんてないのに 

想いはいつか誰にも覚えてもらえなくなるし 
血筋だって跡絶えることもあるでしょうし 
思い出のあの場所も公園になってしまったわ 

永遠は望んだところで決して 
貴方の手にも私の胸にも残りはしないの 

だから私は限りある今を、何より大切に想うのよ

/

ドキュメンタリー番組でゲストさんが泣いてる 
僕は頬杖をついてその画面を眺める 

特に心迫るものなんて溢れてはこなくて 
こんなとき泣けるのは多分優しい人 


悲しくなくなったのはいつからだろう 

最後に泣いたのはいつだったろう 


歳はもなかった末の弟より 
ちっちゃいクワガタは僕を震わせてた 

あの子が一年半こいつが3年 
大切って愛着のことなんだろう 

だってそうじゃなきゃ 
吹けば飛ぶようなこいつが 
こんなに心を重くするもんか 


線香の臭いが立ち込めている 
特に何も考えてないのに正座してる 

その日生まれて初めて父の涙を見つけた 
何も感じない僕が申し訳なかった 


心が揺れなくなったのはいつからだろう 

何も楽しくなくなったのはいつからだろう 

人目も憚らず泣いたのはいつだったろう 

最後に大笑いしたのはいつだったろう

/

 

別に 
悲しい哀しい過去があるわけじゃないよ 
苦しい辛いことと戦ってもいないよ 

平々凡々に今日も生きているけど 
良いことも悪いこともそれなりにあったけど 

使わないせいか本心からの 
喜びも悲しみもいつの間にか 
ころんころんと転がってって 
使い方と使いどき 忘れちゃったよ 

でもやっぱり 
大泣きするようなこと一度くらい 
出会ってみたいんだよね いつかきっと 

その時この身がどんなふうに 
震えて魅せるのか知りたいんだ 

そんなこと言うと君はきまって 
「何事もないほうがいいよ」って 
膨れっ面でそっぽを向くんだ 

でもねいつかきっとさ いつかきっとさ 
それくらい大事なものが欲しいんだよ 


んー じゃあさ 
満面の笑みの自分に一度くらい 
出会ってみたいんだよね いつかきっと 

その時小さいこの鼓動が 
どんだけ強く打つか知りたいんだ 

そんなこと言うと君は何故だか 
「それなら私もう知っているよ」って 
またまたそっぽ向いて黙るんだ 

でもねいつかきっとさ いつかきっとさ 
そうなるような人と出会いたいんだ 

落とし物の拾い方を教えて貰うんだ

/

 

いらない 欲しくないものなのに 
剃っても剃っても 生えてくる 
しぶとくしつこく やってくる 
えいやって切り落としてしまった後に 
ちくちくするのはなんでだろう 

「ひげ」

永きを生きた使者さんが無理ゲーすぎた。

どうもヨウカズです御無沙汰です。

最近我が息子の球体関節人形作り始めたり我が息子のMMDつくったり、息子フィーバーな毎日を送っております。

つまり前よりも息子どっぷりな訳です(

これより掲載する小説は某サイトで書いているものですが、消えたら嫌なのでここにも載せて置くのです!(ちょこちょこ修正するかもしれませんが、その際は報告するます

 

では!

このお話は! 
太平国の使者ちゃんが最悪な状態の国際関係と、相手の攻略難易度が高すぎる中で! 
どうにかこうにかして双方ハッピーエンドを目指していく…… 
ほのぼのありシリアスありの、くっつくまでが驚きの長さなラブストーリー(笑)なんだな!!

…つまりは華宇ちゃんです(前にも書いてたけど思い出せないとこが多くてだな(

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この世界に魔法も空想世界もない。 
あるのは確かな現実だけ。 

『ーーであるからして、我が太平国は明麗共和国に一刻も早い武装放棄をーー』 

とあるお国の大使館前には、塀の所々にプランターの乗った台がある。 
その塀にもたれかかる、クリーム色のカーディガンの女の子……二十歳近いくらいだろうか。
時々時間を気にしては、その都度溜め息をついている。 

「ああ…… 暑い、です……」 

黒髪を団子にして左に纏めてみたが、結局暑いことには代わりないのだろう。 
おまけに退屈凌ぎにとヘッドフォンに流し込むニュースは、一層暑さを感じさせていた。 
ラジオの時間を見てみれば、待ち合わせ時間から30分が経とうとしている。 

……11時半。 
…… っもう! こんな朝っぱらからなんて、何考えてるんですか! 

この暑さへか、それとも待ち合わせ相手への苛立ちか、先程から地面ばかり蹴飛ばしてしまう。 

あーもー、この気温でお気に入りのサンダルも汗だくですっ 
こんな炎天下に女性を待たすなんて、どんなダメダメお…… 

「……ん?」 

ふと、急に暑さが和らいできた。 
大使館内に噴水でもあるのか、ザー……と水の音もしてきて、シャワーでも浴びているような心地よさが…… 

っていうか、 

「……」 

横に止めた前髪から、ポタポタと水が垂れている。 

リアルに浴びちゃってないですかぁああっ!!? 

バッと頭を上げると、シャワーホースを構えた当人がいた。 
当人はつばの広い華奢な背高帽を被り、紺の振り袖を肘までたくしあげ、プランターの花に水をやっている。 

「っ……!」 
「あ、」 

彼女が言葉も無く当人を見上げてわなわなしていると、視線に気付いた当人が見下ろしてきた。 

うわ、前髪ながっ! 
鼻から上見えないじゃないですか…… 
ええと、こっち見えてます? コレ。 
っじゃなくて! えーと、怒らないとですから…… 

そうこう考えている内に、当人は首をかしげる。 

「あの……」 


ビルが立ち並び、車が駆け回る。 

そんな面白味のない現実的な世界にもーー 


「そこ、寄り掛からないでくれません?」 
「…… 
 へ……? は、はい?」 

謝るどころか逆ギレですわぁあーーっ!! 


天よりの使者、 というものが居るという。 

言うなればこれは、非現実が現実として、確かにそこに存在しちゃう話。

 

全くどういう神経してるんですかね! 時間は守らないし水はかけるし! 
目的は無論交渉ですが……文句のひとつやふたつ! 
言われても仕方ありませ…… 

「どうぞ」 

……うわあ、背ぇでっかい 

思わずひきつった笑みで見上げてしまう。 
大使館の重々しい鉄の門が開くと、出てきた体は頭一つ分程高かった。 

「……ああ、貴方が極秘交渉の」 
「そ、そうですけどぉ……」 

そういう彼の声は落ち着いていて、少し不機嫌な私と比べて澄んでいた。 

っていやいや! ここで押されたら後にひびいちゃいます! 
しっかり言うこと言わないと…… 

私は彼をキッと睨み上げると、溜まっていた鬱憤や苛立ちをぶつけにいった。 

「そ、その交渉の待ち合わせ時間ですけどっ、11時から30分近く待ったんですよ!? 
 なのに時間がわかってないどころか花に水やってますし、しかもその水を私にかけますし……貴方! それでも重役なんですの!?」 
「……はぁ」 

はっ……? なあぁ~~っ!? 

腕を組んで黙って聞いていた彼は、私から顔を背けて溜め息をついた。 
長い前髪のせいで、元々目が合ってたかも怪しいが…… 
そんなことより、この態度は明らかにマイナスの印象を濃くするものだった。 
私がわなわなと拳を握って堪えていると、少し呆れた声色で口を割る。 

「待ち合わせではなく予定時間です 
 予定時間は午後の11時の筈ですがね」

「えっ……」 

午後、と言われて私の思考が一瞬フリーズする。 

え、うそっ!? だってちゃんと手帳に書いて……!! 

慌ててポシェットをまさぐり手帳を引っ張り出すと、ぱらぱらとページを捲る。 

「ええっ、とぉ…… 八月十日、八月十日~~…… あっ」 

そこには私特有の丸っこい、赤ペンで書かれた「PM11:00~」の文字。 
だが閉じたときにインクが擦れたのか、Pの字が不格好な「A」に見えなくもない。 

これって…… 
どう考えても、後で見直した時に勘違いしたって事ですよね……私 

「あ……、あははは……」 

眉を下げた私は手帳をしまいながら、力ない笑いを浮かべるしかなかった。

彼は相変わらず腕を組んで見下ろしていたが、今は少し眉を寄せている。 

「……時間が解ってない、反省の色もなくへらへら笑う 

 こんな方が太平国の使者だとは!」 

「う……」 

そういって彼はふいっと背を向ける。 
吐き捨てるように言い放たれた言葉は、私に足元を見つめさせた。 

別に……好きでこう生まれた訳じゃありませんのに…… 

カッとなってあまり感じなかった髪の濡れた感触に、今やっと気付いてしまった。 

「此方です、ついてきなさい」 
「……はい」 

私は少し顔をあげて、少し高い位置で縛ってある帯を眺めながらついて歩く。 
石が敷き詰められた道は、歩く度にブーツとサンダルが鈍く鳴った。 


太平国の「使者」ーー それが私。 

私達「使者」は「天よりの使者」とも呼ばれ、その名の通り空からやって来る。 
宇宙と地上の真ん中である空に浮かぶ浮遊島……あれは周期的に地球の周りを回転しており、極たまに「使者」を運んでくる。 

いつからある? とか、別に皆さん気にしませんし、私もよく知りません。 
「使者」の中には数千年生きてらっしゃる方も居ますし、昔からあるのが当たり前なのでしょう。 
だから皆さん、気にとめないのですわ。 

その存在は公認されており、半永久的な寿命を持つ私達は世界の発展と共に、国家を支える一つの柱のような役割になっていった。

場所によっては国号が変わる度に「使者」が変わったり複数居たり、色々だ。 
比較的平和な最近では、一般人のように暮らす者も増えているという…… 

「……」 

私は先頭を行く背を眺めながら、ぼんやりと考え事をしていた。 

この方が、あの明麗共和国の「使者」さん…… 
あの国で生活してらっしゃる割には、背が高いんですのねぇ。 
……何て言ったら怒るでしょうね、確実に。 
先程も氷みたいな言い方でしたし……というか、おいくつなのでしょうか……? 

なんてことを考えていると丁度良く、彼が振り返らずに言った。 

「気になりますか」

 

心を見透かされたような気がして、先程とは別の意味で体が熱くなる。 

「へえっ!?」 

私が驚いて背筋を正すと彼は立ち止まって半身のみ振り返り、ぽつりと呟く。 

「25ですよ」 
「……。 えっ?」 

私はややあって、きょとんと首をかしげた。 

25って言ったら……超最近の方じゃないですの! 
……あれ? でも確か、明麗共和国が独立したのって…… 
う~ん……百年位前? ですよね? 

頭の中で時代系列に迷子になって唸っていると、彼がかくんと首をかしげた。 
ずれたにも関わらず、前髪はしっかり目を隠してしまっている。 

「……? 25種です。 ここで育っている木々や花は」

「あ、そうですか……」 

私はふっと力が抜けて苦笑いを浮かべる。 

ああ……びっくりしました…… 

ふぅ、と安堵の溜め息を漏らすと、また歩き出す。 

「……」

 

言われてみれば、知らない植物ばっかですわ…… 

館内の庭は広くも狭くもないが、背の低い木とか変わった色の木蘭だとかに囲まれており、石畳以外土が剥き出しの地面は、来た人を田舎町に誘うようだ。 
所々にぽつんと置かれた丸太椅子は、日を浴びて暖かそうな風合いをかもしだしている。 

なんでしょう……喉かな雰囲気ですねぇ~…… 

「さて、着きましたよ……」 

思わずその景色に目を奪われていると、 

「はぷっ!」 
「ひッーー」 

立ち止まっていた彼にぶつかり、顔からつんのめってしまった。 
そして、 

「ひぅわぁああぁっ!!??」 

彼は先程までの静けさが嘘のような叫び声をあげて、私から逃げるように身を捻って、扉を背に持たれて肩を上下させた。 

「はぁ、はぁ…… 
 あ、貴方、だ……っ、誰が自分に触れていいと言いましたか!?」 
「は、はいぃっ!? そっ、そりゃ余所見してた私が悪いですけど! そんな風に驚かなくてもーー !」

 

私の目は見開かれて丸くなる。 
きっと、彼が動揺して激しく動いたからだろう…… 

「っ……? 何、ですか。 そんなにじろじろと……」 

その動きによってもたらされた変化に、私は視線が引き付けられる。 

……綺麗。 

重苦しいカーテンに光が入るように、前髪が割れて目が合ったのだ。 

「あっ……」 

その晴れた隙間に見開かれたのは、左に青み掛かった烏のような黒と、右に濁った緋色。

見事なオッドアイである。 

ふたつの瞳がうろたえるように揺れ動く。 
私はふらっと一歩踏み出すと、食い入るようにそれを見上げる。 

「!? あ、あのですねぇ……!」 

びくりとした反応が返ってきたが、私はふたつの瞳に見入られて気付かない。 

「……」 

本当に綺麗ですわ…… 
まるで澄んだ小川に沈んだ石が、水面の揺めきを映しているような…… 

そんなものに思えたのだ。 
近づくほどそれは宝石のように輝いて見え、私をうっとりと綻ばせる。 

「~~ッ……」 

それとは対照的に彼は、悪戯が見つかった子供のように顔色を悪くし、唇を震わせながら見下ろしているのだが。 
勿論私はそれにも気付かず、それどころか、もう一歩目を踏もうとしていた。

 

「やっ……やめてくださいよド阿呆っ!!」 
「ーーはっ!」 

目を固く瞑って叫んだ彼にハッとして正気に戻ると、顔と顔の距離は10cmほどだった。 

「……!」 

目を薄く開いた彼は顔を少しそらすと、また小さく溜め息を吐く。 
私の顔がみるみる真っ赤になっていくのが、血の昇り様でわかってしまう。 

は…… 

「近いです」 

はわぁああぁーーっ!! 

私は慌てて距離をとると、手を添えて彼に何度か頭を下げる。 

うわあぁ~~っ、何をしているんですの朱音! 

「すっ、すみませんっ! すみませんっ! 
 別にそういう……ふっ、ふしだらな者ではありませんので!」 

ああー、もう…… 自分で何を言ってるんだか。 
こんなことでは、折角の機会が台無しになってしまいます! 

そんな私の内心を知る訳もなく、彼は腕を組んで迷惑そうに言う。 

「あぁ、あぁ。 そんなに激しくしないでください、水気が飛ぶでしょう」

「なっ……!?」 

その言葉に私はカチンときた。 
最初から無愛想だなとは思っていたが、流石に今のは。 

「こっ……これは貴方が私にかけたんじゃないですか!」 

声を張って、水で湿った髪を指す。 
この気温で少し蒸発していたものの、肩や背中の上の方は、汗と一緒にべたついて心地悪い。

「はい?」 

彼は相変わらずポーカーフェイスを崩さず、無表情で此方を見下ろしてくる。 

えぇいっ、全くぅ! 
なんなんですのその態度は~~!! 

「貴方! 私に時間がなってない、反省しろって仰いましたよね? 
 そっちこそ私に謝ってもいないじゃないですか!」 

今度は彼を指して食ってかかる。 
だというのに、これだけ言っても涼しい顔である。 
それどころか、建物の戸の鍵をカチャガチャと開けていた。 

「タオルなら室内にありますから、それを渡すつもりでしたのに……」 
「そういう事じゃあありませんのっ!! あ、貴方みたいな方が明麗共和国の使者なら、そりゃーあ周辺国から孤立するでしょ ーー」

「なら今から断ってもいいんですよ」 

う、っ。 

火に水をうったように、私の声は遮られた。 
彼は戸を半開きにした手を止め、冷ややかな視線で私を見下ろしている。 

「……元々そちらから持ち掛けてきた話じゃないですか 
 別に我が国は軍備促進を緩めるつもりはないですし、貴方がたに好意的でないことは知ってるでしょう」 
「そ、それは……」 

こっちだって同じです! 

と言おうとしたが私の口は開かず、スカートの端をそっと握りながら、唇を軽く噛む他無かった。 
彼は淡々とした口調で、でも少し声を強くして続ける。 

「けど。 首相が内容によっては考慮すると仰られたので、こうして憎き国の貴方を、敷居に上げているんですよ 
 それを忘れないでください」

「……」 

沈黙が痛い。 
私がスカートを握る力は強くなり、口内には鉄の味が滲んだ。 
かといってまた口を開こうにも返す言葉は見つからない。 

ダメですよ、文句を言っちゃいけませんわ。 
この機会は先輩が、交渉を繰り返して頼み込んで、何とかここまでこぎつけたんですから! 

「…… じゃ、此方へ」 
「え」 

暑さのせいではない冷や汗が首を伝った。 

この機会を潰したら…… 

戸が内側に開いていく音が止まると、私は背筋を正し、柔らかく微笑んだ。 

「……ええ、お邪魔させていただきますわ」 


誰にも、顔向けできません。 
頑張りどころですのよ、朱音。

 

[一話:明麗共和国の使者 終]